天魔の華は夜に咲く
何度も強引に唇を貪られた。混ざり合った雫が顎を伝う。

「んぅっ・・っ・・はっ・・」

息も絶え絶え、体がビクビクと反応する。

フォルノスの唇が通る肌から熱が徐々に帯びていく。

フォルノスは指を滑らせつつ嫌味を言った。

「何故抵抗しない?・・昨晩で快楽の味を覚えたか?エレヴォスに教えて貰ったんだろ?」

「ちが・・うっ」


ブルブルと首を横に振った。


「何が違う?誰にでも体を許して男を惑わす。もう立派な魔族の女だな。お前は」


_違う。他の人とは明らかに感覚が違う。
私が欲しいと思うのはフォルノスだけなのに。


「まぁ、どうでも良いか。今は」


机に下ろされ、手を押さえつけられた。


「お前も他の女と変わらない。少し優しく撫でれば勝手に蕩ける」


膝を上げられ、フォルノスの顔が太ももへ近づいた。


「フォルノス・・もっ・・も・・」


「なんだ?降参するか?悪いが今日は荒ぶっている。泣き叫んでも止める事はない。覚悟するんだな」


そうフォルノスが言った瞬間に、ギュッとセンジュはフォルノスを抱きしめた。


「もっと・・」


センジュはフォルノスの頬を両手で包むと自分の唇に寄せた。


_もっとフォルノスの温もりが欲しい。



「ん・・んぅっ・・」

フォルノスの唇を噛み、こじ開ける。

「フォルノス・・」

自分から舌を絡ませた。

「もっと力を抜け。下手くそ」

フォルノスは初めは驚いていたが、それをすぐに受け入れた。

自分では理解しがたい、何か熱いモノが心の奥底から込み上げたからだ。


「はっ・・ぁ」


ガタッ


2人の体が交わり、机の軋む音と2人の息だけがしばらく部屋に響いた。


「はっ・・はぁっ・・フォル・・ノスっ・・んっ」


「く・・お前・・っ・・はぁ・・はっ」


いつのまにか頬を真っ赤に染めながら瞳から涙が溢れていたが、センジュはフォルノスの全てを受け入れた。

むしろ強く抱きしめ、フォルノスの背中を懸命に掴んだ。

温もりを離さないと言わんばかりに。



本音が息と共に零れ落ちる。

「すき・・フォルノス・・好き」

「それは、この行為がいいという話か」

「違う・・フォルノスが・・好き・・」

「な、に?」


しがみつく様にセンジュはフォルノスを抱きしめた。


「迷惑だってわかってる。フォルノスが私のこと嫌いなのも知ってる・・ひっ・・ぐすっ」


「お前・・」


「私だって理解出来なかった。意地悪なフォルノスなんか好きになるわけないって思ってたのに」


「じゃあ何故だ?」


「わかんない。けど他の人のキスも、撫でてくれる手も優しいけど・・身体中に電気が走るみたいに感じるのはフォルノスだけだから・・もっと欲しいって思うのはフォルノスだけだから」


それを聞いたフォルノスは急に静かになった。
俯いている。時が止まった様に動かない。

センジュは慌てて否定した。

自分の事を重い女だと思った。


「ご、ごめん・・迷惑だからもう・・止める・・どいて」


フォルノスの体を手で押した瞬間に、フォルノスの瞳がセンジュの瞳を貫いた。

突然力強く抱きしめられ、唇を求められた。

センジュの細い指の隙間にフォルノスの男らしい指が絡みつく。


「フォル・・ふっ・・あっ」


ググッ

更にフォルノスはセンジュの奥深く突き進んだ。

「あ、何!?んあっ・・っ」

「話は後でする・・俺も今、俺がよくわからない」


フォルノスは欲望のまま身体を揺さぶった。


_わからないが・・今とてつもなくこいつを欲している。
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