翔んでアルミナリア
そこから先は、燐光石の明かりを頼りに、エレオノア姫がイシュマを見つけ出し進むべき方向を示す、ということを三、四回繰り返した。

日は完全に没し、夜闇があたりを支配している。
わけもなく不安がわいてくるのは、闇に対する太古からの畏怖の記憶なのか…いやよそう、よけい不安がかきたてられてしまう。

なにか別のことを考えようと努めると、またもある符号に気づいてしまう。
植物の道しるべを辿り———蓮と実花子。わたしたちの名はふたりとも植物にちなんでいるのだ。

これははたして偶然だろうか。蓮くんは気づいているだろうか。

岩壁に沿って先頭を歩くエレオノア姫が、不意に立ち止まってかがみこんだ。足元を覗きこむような姿勢をとっている。

「地面に亀裂が。この下に洞窟があるはずです。父君に教えられた通りです」

まさか、ここを潜るのか…うめき声が漏れそうになった。
< 131 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop