翔んでアルミナリア


アルミナリア帝国皇帝リュシウスの寵愛を一身に受け、この世の栄耀を極めているかのような寵姫エレオノア姫には持っていないものが二つある。
自由と自分の寝所だ。

カリンガ王女エレオノア姫の身上は非常に複雑だ。

カリンガは王国とはいえ、アルミナリア大陸に数多ある自治を認められている属国の一つに過ぎない。
ちなみに蓮くんに解説してもらった帝国と王国の違いは、支配領があるかないか、だそうだ。
従ってアルミナリアは皇帝を冠し、属国のカリンガは王国と称する。

三年前、カリンガ王国の先王が急死してしまったことから、姫の運命は急転する。
残されたのは、十六歳の王女エレオノアとわずか十歳の王子マリス。
母である王妃はすでに亡く、もともと王妃が()つ国の貴族の出自であったため、姉弟には有力な後ろ盾もなかった。

マリスを廃嫡(はいちゃく)し跡目を狙わんとする王族の存在もあり、年若い姉弟はきわめて不安定な立場に追い込まれてしまった。

そこに割って入ったのが、なんとアルミナリア帝国皇帝リュシウスそのひとだった。
本来であれば、小さな属国の跡目争いに皇帝自らが介入するなどきわめて異例だ。
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