綺桜の舞う
「髪ボサボサだよ?」
「大丈夫、どーせ今からバイク乗ってボサボサなるから」


上に上がった俺たちはすぐ目の前に止めていたバイクに乗る。
叶奏ちゃんは俺の後ろ。



エンジンを蒸して、タイヤを転がす。


夜桜のメンバーは幹部じゃなくても顔も名前も割れていなかった。
夜桜の情報は全てが重要機密で、その通りに今までどこにも流れた、という情報はなかった。
青狐が俺たちの族に乗り込んできた時も、叶奏ちゃんくらいはバレたかとおもってたけどそんなこともなく。
……なかなかやり手な族が、動き出したね。


病院はすぐについた。南町の入り口の方で割と近かったから。


「あっ、叶奏さん、伊織さん」
「ん、お疲れ。どこにいる?」
「裏の駐輪場っす」
「ん、了解」


叶奏ちゃんに続いて俺もスタスタ歩き出す。
裏には多分夜桜の面子、と、生け捕りにされた敵衆。


「……んーっと、君たちどこの族?」
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