綺桜の舞う
『こちら、おつき合いさせて頂いてる湊くんです』と唐突に紹介されて、フルネームを言うことで精一杯だった俺に、にっこり笑ってくれたのは叶奏のお母さん。明らかな敵意を向けたのはその隣に立つお父さん。


そこからは親子の会話、という感じで、ねぇパパ、と話しだす叶奏。


とにかく、いづらかった。
1時間、談笑も交えながら、別荘を借りることができて、俺たちは家を出た。


あの日を思い出すと目の前の別荘はなかなか落ち着いた雰囲気に見えてしまうけど、実際結構豪華なものだ。
恐ろしい。


「うーみだーーーーーっ」


誰よりも元気なのは陽向。
当たり前だけどみんな、というのは綺龍で、かつ夜桜。


そして今回の旅行の目的は、海、だけではない。


……鬼王。
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