綺桜の舞う
「ねーえ。叶奏ちゃんにアタックされてんだったら、はよいいなよ」
「普通に無理。あいつに好かれてるってバレたら反感買う」
「まぁそうだけどさ。叶奏ちゃんバカモテるもんね。
この頭の硬い集団が、こぞって告白するくらいには人を惹きつけるだけの魅力がどっかにあんだろねぇ」


伊織は手探りで、バレッタを整えると、目の前に現れた屋上の扉を開ける。


「陽向は?」
「あー。保健室でサボってるかも」
「まぁ、いつもだな〜」


いつも通りの場所に座る伊織。
ニコニコな件。


「そんな笑ってなに?」
「いや?湊がとうとう恋かぁって思ったら嬉しくてさぁ」
「……誰がそんなこと言った」
「でも、嫌な気してないでしょ?」
「嫌な気って……」
「さっき陽向から連絡きてたんだけどさ。
隣の部屋に住んでるらしいじゃん?
んで?同じ釜の飯食って?あーあ結婚じゃん」
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