綺桜の舞う
伊織は訳のわからないことを言いながら、コンビニの袋からパンを取り出して、袋を開ける。


「今までのお前なら、どーせ1人だし?飯なんか適当でいいやーって、どうせ一日一食とかだったろうに。
今の湊見てみ?人のためとは言えちゃんと飯食ってんだから、叶奏ちゃんは大事な存在だな〜」
「なんなん、お前」
「べっつにー?可愛いじゃん。
女のために?自炊して?あーあ、あの堅物な湊はどこいったんだろねー」


始終ニヤニヤと、俺のことを見ながらパンをかじる。
いちごの匂いがやけに甘い。


「……お前、ほんっとうざいのな」
「まーま、少なくとも、次コクられたら断らないことだなー」
「は?なんで」
「当たり前でしょ。夜桜としては俺たちに迷惑かけることを既にしている状態なのに、すぐに同盟結んで対等に、って行かないとこ見たら、なんかあったらお前らなんかすぐに潰せんだぞ、って脅しでしょ?」
「……」
「綺龍の先行きはお前にかかってるみたいだね、ふくそーちょー!」
「……あー」


これは。


「やられた」
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