綺桜の舞う
「私が忘れちゃった期間のその前のことは、鮮明に覚えてるの。中学に上がる直前で、バレー部の先輩が、本当にかっこよくて憧れて、それでバレー部に入ろうって決めた。
その時は普通の女の子だったし、暴走族とか、ましてやヤクザなんて、別の世界だと思ってた。


でも、ある日目を覚ましたら、私はみんなに置いていかれていて、みんな大人っぽくなってて、私も変に体は成長してて。
でも、記憶がないからみんなより2年分子どもで。
私それを頑張って隠して、みんなに合わせて背伸びして、みんなが期待してくれてるから、裏の世界に入った。


夜桜に入ったことに後悔はしてないけど、背伸びしたことは後悔してる」


叶奏は笑って、頬に涙を流した。


「私、どうして何も覚えてないんだろうね」
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