綺桜の舞う
俺は叶奏の隣に立って、肩を抱き寄せることしかできなかった。
その時は、本当に何も言ってやれなくて、ただ叶奏は俺の胸で声を押し殺して泣いていた。


叶奏の総長としての風格は、叶奏の計り知れない努力と背伸びの結果。
失った2年をみんなに意識させないように、必死に生きてきた。
戦い方はわからないのに、戦い方を心得てしまっている身体を必死に操ろうと努力して。
知らない自分を甘んじて受け入れる強さがあるわけじゃないのに、その気持ちを押し込んで、押し殺して、涙を飲み込んで、叶奏は強いふりをしていた。


……すごいよ、ほんと。
俺の稚拙な言葉選びじゃ表現できないほど、叶奏は頑張ってるし努力している。



「いつでも、泣きたい時は泣けよ。
何もしてやれないし、何もわからないかもしれないけど、胸くらいはかせる」

俺はそう言って、胸の中で頷く叶奏の頭を撫でた。
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