綺桜の舞う
あんずが隣に座る沙彩の顔を覗き込む。
よくないとはわかっていながらもすでにお酒を開けている沙彩と私は、お酒の缶を口元で傾ける。


「いや……?別に」
「別になんですか?陽向くん、最近よくお城に来て、沙彩ちゃんにベッタリじゃないですか」
「ベッタリ、っていうか……なんか犬なんだよね。
昨日も寝るって言ったら、僕もっ、とか言ってベッド入ってきてさ」


寝返り打てない、と呟く沙彩。
その割にはまんざらでもない顔。
好きなんだなって思う。


「可愛い」


沙彩が。
蛍がぽろっとこぼした言葉に、


「まぁ、あいつは可愛いけど」


なんて勘違い満点で返してくれる。
既にほろ酔い状態だからかちょっといつもより素直だね?


「叶奏は?最近どーよ」
「え、私?別に……月2回の湊くんの病院以外は、だいたいずっと一緒にいる。でもね〜湊くん寝るの早いからおうち帰る時間早くて寂しいね」
「もう同棲しちゃえばいいじゃん。1日のほとんど、あんた自分の家にいないでしょ」
「確かに……そうしようかな……」
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