綺桜の舞う
25.リノリウムの香り
旅行最終日。
目を覚ますと身体が重くて、やってしまったと、即座に気付いた。


……薬、飲んでない。


「しんど……」
「ん……湊くん?」


俺の隣で寝ていた叶奏は俺の異変に気づいたのかもぞりと起き上がる。


「調子、悪い?」
「……ちょっと。薬とって欲しい」
「ん……待ってね、」


叶奏はパタパタと俺のカバンをあさりに行く。
毎日俺、なんの薬飲んでんだっけ。
貧血?免疫増強?痛み止め?……なんだっけか。


もう、いろんな病気持ち合せすぎて、わからんのだけども。
なんだかんだ身体が弱くて、医者にもお前なんの病気だよ、って言われてるから、結構お手上げ状態。


今までの人生で一番やばかったのは突然力が抜けて意識がなくなった時。
いやもう、本当になんの病気だよってな。
なんの数値も安定しないし、免疫も急に下がるし、常に貧血だし。
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