綺桜の舞う
それでも病院に行かなかったのは、別に俺がいつ死んでも、この世界になんの影響もないなって思ってたから。


「ん……と、ごめんね、どれ飲んでたかわかんなくなっちゃったから全部お持ちしました……」
「ありがと……冷蔵庫の水、持ってきて」
「うん」


ただ、叶奏と出会ってからは……まぁ。
世界になんの影響がなくたって、叶奏は泣いてくれるんだろうなって思ったから。


とんでもない量の薬を日々飲み続けることにはなったけども、これで延命ができるんなら、あわよくば普通の人と同じくらい生きれるんなら、全然苦痛でもなんでもない。


「はい、お水」
「ん、ありがと……」


俺は起き上がって、薬を飲む。


「あー……」
「大丈夫?しんどい?」


たまたま、ダメな日だったんだろうな、今日。
身体重いし。薬飲み忘れんの、結構しんどいな。


去年も何度もこんなことがあってその度に、叶奏にバレないように朝イチ連絡入れて、今日学校休むから来んなって伝えてたっけか。
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