綺桜の舞う

◇ ◇ ◇



「学校来てんだね」
「……ユキこそ」


放課後、自習室、いつもの場所。
結局俺1人で学校来て、別に頭に入るわけでもない授業受けて、ぼーっと時間だけが過ぎて。
来てないだろうなって思いながら、なんとなく1学年下の自習室に足を運んだ。


「……この前の。誰にも何も、言わないままで乗り込んできたでしょ」
「うん」
「ほんとに、よかったの……?
ボク、知らないよ?バレても」
「うん、そうだね」


俺はなんとなく空返事で、ただいつも見たく琥珀の隣に座って顎を掴んだ。


「ね、ダメ……」
「無理」
「ちがっ、大事な話……っ」
「キスの後じゃダメなの?」


本当に、まじで俺、ロクでもないなって。
1人の女のために、味方を危険に晒して、蛍が消えて、叶奏が取り乱して、3年前の再現をしようとしている。


なのに勝手に切羽詰まって、それを琥珀にぶつけようとして。
無理矢理、とか最悪なの知ってるのに。
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