綺桜の舞う
「次……何があっても、死ぬとか、言わないでね……?」


だから、手放さないように。
私の近くにいてくれるように。
ただ、私はこの人の好きをずっともらっていたくて、独り占めしたくて。


「……頑張る」


なのにこの曖昧な返事が、不気味なくらいに私を傷つけた。


「うん、お願い」


私は笑った。
やっぱりこの人には、私の気持ちは通用しないって気づいたから。
最後まで。最後の最後まで。
強くいたかった。
陽向と一緒にいれる最後まで、笑っていたかった。
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