綺桜の舞う
◇ ◇ ◇
次の日、叶奏は本当に学校に来た。
……が、しかし。
「叶奏教室に来てないんだけど?」
「……俺はちゃんと送り届けたんだって」
1限目の後、有村が俺のところまでやってきてピリピリしていた。
それはもう、周りの人間がはけていくくらいには。
そもそもの話、表面上、彼女の友達、くらいの関係性の有村と学校で話すことなんてほとんどなく、周りから不審な目で見られているのは良くわかった。
「下駄箱に靴はあるから学校には居ると思うんだけど」
「探して来いと?」
「だって叶奏の行動パターン、あんたが1番知ってんでしょーよ」
ということで。2限目。
校内徘徊。
「……ったく」
どこにいんの?
俺にどれだけ心配させたら気が済むんだろうか、あいつは。
スタスタと校内を歩く。
これで先生に見つかったらど叱られるんだよな……?
先生から逃げ切れるか微妙だな……。