綺桜の舞う
私の運命が歪んでしまった日。
あの日は、良くしてくれる先輩と部活の後もゆっくり喋ってしまって、帰るのが遅くなった。
先輩も、ファミレス行く?なんて誘ってくれて、いいですね、なんて青春駆け出しのアホは頷いてしまった。


そう言う人に限って、ホテルに引き摺り込もうとする。
なかなか強引な先輩だった。


そのとき、ホテルの前で入る入らないの押し問答をしている私を助けてくれたのが薫風だった。
見た目は別になんてことない一般人で、ただただ人相だけが恐ろしかった。
いや、顔立ちは綺麗目なんだけど、どうしたらそんな目の下に大きな傷ができるんだって。
……後々聞いたら殴り合いでやったとか。


兎にも角にも、そんなヤンキーさんは案の定暴走族の人間で中学生なのにも関わらずトップの座に君臨する、やり手だった。
その日以来関わることはないだろうとたかを括って日常を送っていた私だけど、残念ながらそうもいかず。
次の日、下校時刻に待ち伏せされて倉庫に連れて行かれた。
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