綺桜の舞う
45.消えない事実
始まりは、パパが再婚したことだった。


私が小学生半ばの時に、病気で亡くなってしまった私のママは、いつも笑顔で優しくて、病気だなんて感じさせないくらいに元気で、幼ながらにすごく自慢だったのを覚えている。


私が中学1年の時にパパが若い女の人と再婚した。
なんだか裏切られた気持ちになった。
そして、家に居づらくなった。


やけに人の多いあの家にある日突然やってきて、この人と再婚したいんだって言われて、私はにっこり笑顔でパパがしたいことなら否定しないよ、って言ったけど、全然そんな気持ちなかった。
本当は嫌だった。
私のママはママだけで、パパもそういうふうに思ってるんだって思ってた。


次の週からあの人が家に住むようになって、使用人はみんなあの人のことを簡単に受け入れて、前に進めないのは私だけだった。


別に嫌いだったわけじゃない。
いい人だったし、私のことも受け入れてくれた。


本当に、前に進めなかっただけ。
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