綺桜の舞う
銃弾が飛ぶ。何発も。
至近距離で俺に向けられたそれは、交わすことが困難で、もう何年も銃と向き合っていない俺には、厳しいものだった。


最後の一発、俺の右肩を掠める。


「……っ、」
「やはり、変わっていないな」


拳銃を捨てて、こちらに向かってくる足取りはやけに軽い。
俺も、天馬の瞳を見つめる。


「久しぶりだな、手合わせなんて」
「10年ちょっとだな。あんたも足腰やられて来てんじゃないか?」
「調子の良くないお前とは良い戦いができると思っているよ」


繰り出される最初の技は足。
この人のくせだ。
だから、この人に教えられた奴らはみんな足から強くなる。
俺も、きっと琥珀も。薫風だってさっきチラッと見た感じ、足からだった。
きっと薫風から戦場というものを教えてもらったであろう叶奏も、しっかり足技が得意だ。
挙げ句伊織でさえも、俺の見様見真似でどんどん足ばっかり強くなるし。


天馬の影響力は絶大だ。


俺も負けじと、攻撃を受け流して、拳を放つ。


「変わらないな」
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