綺桜の舞う
「最近の子は、数人きたけど、その子たち限定で疑うのもアレだし、だからって昔からいる子を疑うのもって……。そもそも、内部スパイとは限らないし……」


「……とりあえず、何かあった時用に、同盟、組もっか」
「……あぁ、そうだね〜」
「そっちの倉庫で契約はする。
牽制になると思うし。
あと……ちょっと、釣ってみよう。
ハマるかどうかはわからないけど、やらないよりはマシ」


叶奏はスマホを片手につらつらと呟く。


「釣るって……」
「カマかけるんだよ。
嘘は言わないけど、言っても問題ない大事そうな情報で相手を釣る。
ダメでもともと。釣れたらラッキー、くらいの感覚で。みんなはいつもどおり過ごしてくれたらいい。
運びは、私たちが勝手にするから」


そう言って一足先に屋上を出ていく叶奏。
一方的に語るだけ語って、さっきチラッと見えたスマホ画面は向こうの副総長、椎名朔、の文字。
きっと話を通しに行った。


「……叶奏は、頭の回転だけはいいから」
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