綺桜の舞う
拳を指で突かれてビビったのか、単純に申し訳なくなったのか、半泣きで戻ってきて俺に抱きつく陽向。
チビ。そして俺は伊織じゃない。


「あーらら。普通にかわして欲しかったな。夜桜の総長でも、常人だと思いたかった」
「えっ、大丈夫だよ?こういう時は流石に寸止めしてもらえると思ってただけだから。普段ならちゃんとかわすよ?」


にっこり微笑む姫野。
終始笑みを絶やさない。


「んーじゃあガチでやってみる?」
「えっ、理由は?」
「力で俺たちのことを服従させるっていうのはどう?」
「うーん……でも私、あんまり強くない……かも」
「その時はその時、お引き取り願うって感じだね」


一応総長なだけあって、そういうとこだけはしっかりしてる伊織。
やる気を出したのか、流していた赤い前髪を後ろに送ってバレッタで留める。
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