My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「はい。先ほどダグが倒してくれたモンスターも元はあんなに狂暴ではなく森の奥の方でひっそりと群れで暮らしているモンスターなのです」

 女の子を襲おうとしていた敵意むき出しのモンスター。元は温厚な性格だと言われてもとても信じられなかった。

「モンスターが狂暴化しているわけか」
「おそらくは。……本当に、こんなことは僕らも初めてで」

 心底参っている様子でパシオさんは辺りを見回した。

「ですが、この森の中で今何かが起こっているのは確かなのです」

 その低い声にぞくりと鳥肌が立つ。

 ――“何か”が起こっている……。

 やはり油断は出来ないということだ。

「それと、もうひとつ訊きたいのだが……」

 と、セリーンが言いにくそうに続けた。

「すまない、私はこの森は全焼したと聞いていたのだが、この辺りは無事だったのか?」
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