My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「そういうことか」

 セリーンが息を吐くと、リディは寂し気にまつ毛を伏せた。

「アヴェイラは術士でしょ? イディルに来る前相当酷い目に遭ってたみたいで」

 それを聞いて胸が痛んだ。術士への偏見はやはりどこへ行っても同じなのだろうか。

「でも、イディルの人たちはアヴェイラのことを受け入れたんでしょ?」
「勿論。でも、全員が全員ってわけじゃなくて、中にはアヴェイラを怖がる人たちもいたわ」
「そうなんだ……」

 少しの沈黙のあと、リディが急に作業台をバンと叩いた。

「でも私はね、やっぱり兄貴がもっとしっかりしてれば良かったと思ってるの。あんなにいつもグレイスグレイス、セイレーンセイレーン言ってるから、アヴェイラも我慢できなくなったんだわ!」
「あー……」

 リディの怒りっぷりに苦笑しながら、私は出来ることならもう一度アヴェイラに会ってちゃんと話がしたいと思っていた。
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