My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

30.鉱山の責任者


 アジルさんが訪れるまでの間、私たちは詰所の外で待つことにした。
 見回りがてら外に出ているからその間少しでも休んでおけとセリーンに言われたパシオさんは目を丸くし、それから少し恥ずかしそうに頭を下げていた。

「大方、指輪目的の男女という体で街に入ったのだろうが、あそこで拒否したら逆に怪しまれるだろう」

 詰め所を出て少し歩くと、前を行くセリーンが呆れたふうに口を開いた。 

「あの場にいたのがパシオだけで助かったな」
「……」

 隣を歩くラグをちらり横目で見上げるとなんともバツの悪い顔をしていた。

 確かにあの場に他のメンバー……特にマルテラさんがいたらきっともっとおかしな雰囲気になっていただろう。
 でも受け取ろうとしなかったラグの気持ちもわかるから私は何も言えなかった。
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