My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「だから、私はこの世界を終わらせたいとは思いません」
「……」

 笑顔の消えてしまったエルネストさんに、私は一歩近づく。

「エルネストさんも私と同じで歌が好きなんですよね。歌が溢れていた、この世界が大好きだったんですよね。だから、その歌が消えてしまって悲しいんですよね……」

 私を見下ろしたまま、彼は何も答えない。

「それに、愛する人がいなくなってしまって……さっき、エルネストさんはこの世界を終わらせるために私を呼んだって言ってましたが、本当はもう一度、銀のセイレーンに……愛する人に会いたかっただけじゃないんですか?」

 だって彼はいつも私を見て、寂しそうに微笑んでいた。
 本当は私なんかじゃなくて、彼の愛した銀のセイレーンに会いたかったに違いないのだ。
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