片思いー終わる日はじめる日ー
 美術室を出るとき中井と目があった。
相田(あいだ)ぁ、元気?」
「や、だな。元気ですよぅ。バレー部入って、も、食べる食べる。超元気」
「――――そっか」
 やだ、どうしたんだろう。
 廊下に出て、やっぱり気になって振り返ると、だれもいなくなった美術室で中井はひとり、窓からグラウンドを見下ろしていた。
「ほんと、どうしちゃったんだろ」
 体調不良で課題が野外になったのなら、いやだな。心配。


 それでも、おとなの心配なんておこがましいのもわかっているから、気分を切り替える。
 バレーにもどってから、あたしは気分転換がうまい。
 今できること。
 今するべきこと。
 呪文みたいに唱えながらレッツゴー。

 描くんならあそこにしようって、すぐにひらめいた場所。
 入学したばかりのころ、めずらしくてあちこち寄り道していて見つけた畜産試験場。
 通学路じゃないから道はおぼろげだけど、春に見た景色は忘れない。
 牛の飼料用かなぁと思って見渡した、あの小さなタンボ。
 今頃はきっと、お米がいっぱいでおいしそうだぞ。
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