翠玉の監察医 真実を知るか偽りに溺れるか
その時、蘭は多くの視線を感じた。その刹那、背後から多くの黒ずくめの男性たちが走ってくる。

「えっ!?」

驚いた圭介はみぞおちを殴られ、気を失ってしまった。蘭は圭介を守りながら、自身に襲いかかろうとする人物たちを殴ったり蹴り上げたりして攻撃する。

数分もしないうちに、蘭の周りで多くの男性が倒れていた。痛みで誰もがうめき声を上げ、気を失ってしまった者もいる。

「お見事。さすがあの時多くの人間を殺しただけあるな」

闇の中からゆっくりとアーサーが現れる。蘭はアーサーを睨み付け、「星夜さんはどちらにいらっしゃるのですか!?」と訊ねる。もちろん攻撃体制も崩さない。

「まあ待て。今日はお前の腕前を再確認しに来ただけだ。本番はこの紙に全て書いてある」

アーサーは両手を上に上げて攻撃の意思がないことを告げると、蘭にメモ用紙を手渡した。

「その場所に一人で来い。そしたら星夜に会えるかもな」

アーサーは笑いながら立ち去っていく。蘭はメモ用紙に書かれてあることを見つめ、ブローチを握り締めた。

「法医学の、希望に」
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