【完】今夜も愛してあげる。
「朝哉《ともや》、久しぶりだな。会うのは大学生以来か?客相手に手を握るなんて馴れ馴れしい行為は辞めろ。
この人は俺の妻なんだ。その手を離してもらおうか」
あれ、知り合いだったの?
朝哉と呼ばれた男の人は、湊叶さんを見た途端に表情が消えた。
「ああ、お前か。誰かのせいで悩んでるみたいだったから、相談に乗ってたんだが?指輪付けてないけど、愛想尽かれたんじゃないのか」
さっきと雰囲気全然違う。
にこやかに話していたのとは正反対の、低い声。
素はこんな感じなのか…
「今は喧嘩してるだけだ。ご心配なく」
一言そう告げると、私の方に向き直る。
「面談の予約は電話でキャンセルしといたから、このまま帰るよ」
えっっ、いつのまに!?
「か、帰らないという選択肢は「智沙?」
「ハイ、カエリマス」
何が何でも帰るという圧がすごくて、逆らえるはずがない。