【完】今夜も愛してあげる。
普通そこは喜ぶとこじゃないの?
スカウトまで……す、すごい……。
いっそそのまま浮気やら芸能界デビューやらして、手っ取り早く別れて欲しいな。
なんて願いも虚しく、湊叶さんは私と目が合うとぱぁぁっと顔を綻ばせた。
「あ、智紗!終わったんだね。お疲れ様」
なんで急に呼び捨て!?
そのせいで私に一気に注目が集まり、「あんなブスがイケメンの彼女?」みたいに睨まれて震え上がる。
彼は人波をかき分け私の元へ歩み寄り、ぎゅっと手を握ると
「悪いけど、これで失礼します。」
爽やかスマイルで最後まで女性達を魅了して、私の手を引いて颯爽と歩き出す。
どうしてこうなったーー………!!?
「はーい、楽しんで!これからは智紗は誘わないようにするね!」
ちょっと待って、本気でやめて。私の生き甲斐を奪わないで!
講義の意味でキッと睨みつけても、「やっと2人きりになれた、寂しかったよ」と微笑むだけ。
湊叶さん同伴では、趣味を楽しむことが出来ない。