地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?
 やがて佐藤さんが私を解放し、爪先立ちしていたのをやめる。

 私はまだぼんやりとした意識のまま彼を見つめ、心に浮かんだことをそのまま言った。

「ずるい」
「ごめん」

 彼が応え、また背伸びすると今度は優しくキスしてきた。

 本当にずるい、と私は思う。

 でも、彼のキスは嫌ではなかった。むしろもっと欲しい。彼が私だけのものだと感じたい。

 誰にも盗られたくない。

 あなたは私のものだよね?

 信じていいよね?

 唇がまた離れていった。

 失われた温度が恋しくて堪らなくなる。私は身を低めて自分から唇を重ねた。

 狭いエレベーターの中で荒い息遣いといやらしい音が響く。もうさっきの女の子なんてどうでもいい。彼が欲しい。彼さえいてくれたら他はどうでもいい。

 エレベーターが次に開くまで私たちはお互いを求め合うのであった。
 
 
**本作はこれで終了です。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
< 23 / 23 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

総文字数/150,594

恋愛(オフィスラブ)497ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「この感情……いやいやいやいや、これ違うから!」 商社に勤める大野まゆか(28)と彼女の上司の三浦部長(35)の物語。 部下に想いを寄せる三浦部長とそれに気づかないどころか彼を嫌っていたまゆか。二人の気持ちのすれ違いぶりをお楽しみください。 ついでにまゆかの自身の気持ちへの戸惑いもご賞味ください。 なお、このお話は「彼女は溺愛されていることを知らない」の続編となります。 未読のかたは先にそちらをお読みいただくことをおすすめします。
地味で根暗で電信柱な私だけど、二十代で結婚できますか?

総文字数/2,562

恋愛(オフィスラブ)5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
書店員の清川ゆかり(28)と出版社の営業部員の佐藤(23)の物語。 結婚に憧れはあるもののコンプレックスのせいですっかり諦めモードな清川さんと彼女に好意を抱く年下の佐藤さんのちょい甘い恋愛話をお楽しみください。 **本作は書店(職場)を部隊にした短編ですのでカテゴリーをオフィスラブとしています。
彼女は溺愛されていることを知らない

総文字数/4,477

恋愛(オフィスラブ)16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「次はどこに行くのかな?」 商社に勤める大野まゆか(28)と彼女の上司の三浦部長(35)の物語。 部下の女子社員に想いを寄せる三浦部長とその想いに気づかないどころか彼を嫌ってるまゆかの気持ちのすれ違い具合をお楽しみください。 **本作はノベルデイズでも公開しています。 **本作の続編として「やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない」を不定期ながら現在連載中です。よろしければこちらもどうぞ!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop