夢みたもの
結局、ユーリの家族と過ごしたのは、4ヶ月に満たなかった。

とても幸せな4ヶ月。


「元気でね」


施設の門の前で、そう言って頭を撫でてくれたおじさんとおばさん。

施設を怯えるように見上げていたアンナは、寂しそうに「またね」と呟いた。


そして、今にも泣きそうな表情のユーリ。


「戻ってくるから・・・・絶対、ひなこの事忘れないから」


「だから負けないで」ユーリはそう言って、ぬいぐるみを抱きしめてうつむいたままのあたしを抱きしめた。


「・・・ユーリ・・・・」


ずっと我慢していた涙がこぼれた。


施設に戻ると決まってから、一滴も流れなかった涙。

仕方無いと諦めて、悲しまないようにしていた。


それが堰を切ったように流れ出て、あたしはユーリに抱きしめられたまま、声を上げずに泣いた。

施設では声を上げて泣くと怒られるので、あたしは昔から声を上げずに泣く。

そんなあたしを抱きしめたまま、ユーリは綺麗な声で囁いた。



「待ってて、ひなこ。絶対、帰ってくるから」


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