夢みたもの
「あたしは何も知らないけど・・・?」

「またまたぁ〜」


鞠子は目を輝かせて身を乗り出すと、満面の笑みであたしを見た。


「そんな訳ないじゃん?で、鞠子は仮説を考えてみたワケ!」

「仮説?」


あたしと葵は顔を見合わせて首をかしげた。


「仮説って何?」

「鞠子・・・また変な事考えてるでしょ?」

「ちっ がぁう!!」


呆れ顔の葵に、鞠子は顔を赤くして否定すると、あたしと葵の顔の前で、立てた人差し指をチッチッと振った。


「鞠子の観察によると、最近の航平君は、今までに見た事がないぐらい浮かれてるの。これは、よっぽど良い事があったって事でしょ?」

「まぁ、間違ってはいないわ」

「でしょ!?で、航平君がこんなに浮かれるなんて・・・その理由はひなこ以外に考えられない!」

「それで?」


珍しく葵が話に乗ってくれるからか、鞠子は嬉々とした表情で、コホンと咳払いをした。


「鞠子は、ひなこと航平君が幼なじみカテゴリーを超えて、やっとこ正式に恋人になったと思うワケ!!」

「はぁ!?」

「なるほど。悪くないわ」


あたしと葵が声を発したのは、ほぼ同時だった。



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