夢みたもの
「どう?って・・・、ひなこがそう言ってるんだから、そうなんでしょ?」


話を振られた葵は、飲みかけていたペットボトルを口元から離し、あたしをチラリと見てそう言った。


「でもさぁ、最近ひなこ変わったと思うでしょ?」

「そうかしら?」

「変わったよぉ!それに、鞠子の観察眼によれば、最近変わった人がもう1人!!」

「・・・・!?」


その言葉に、あたしは息が止まるかと思った。


噂好きの鞠子は、確かに普段から人の動向に目ざとい。

それに、いつどこでどんな噂を仕入れてくるか分からないから、もしかしたら、既にユーリとの事がバレている可能性もある。

そう思うと気が気じゃなくて、あたしは不安で一杯になった。


「・・何それ?誰の話?」


動揺を抑えながらそう言うと、鞠子はあたしを見て目を輝かせた。


「誰って・・・航平君に決まってるじゃん!!」

「航平?」


あたしは拍子抜けしながら呟いた。


「航平がどうかしたの?」


「何言ってんのぉ!?最近の航平君、めちゃくちゃ楽しそうにしてるじゃん!あれは絶対、良い事があったんだよ!」

「え?そう?」

「確かに。ここ最近の堤君は、以前の2割増は笑ってるわね」


葵が賛同した事で鞠子は自信を持ったのか、ウンウンと頷きながら、期待を込めた目をあたしに向けた。



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