夢みたもの
「早くしないと、昼休み終わっちゃうわよ?」

「あぁ〜そうだった!」


葵の助言に、鞠子はふてくされていた事も忘れて、慌てて椅子から立ち上がった。


「ありがとう、葵ちゃん!ウッカリ忘れる処だったよぉ」

「どういたしまして」


鞠子は慌しく弁当箱を片付けると、「じゃぁ、ちょっと行って来る」と言い残して、一目散に教室を飛び出して行った。



「本当、落ち着きがないわね」

「鞠子って・・・『猪突猛進』って言葉がピッタリ当てはまるよねぇ・・・?」


あたしが鞠子が出ていった教室のドアを見つめて呟くと、葵は小さく吹き出して笑った。


「まったくだわ。時々心配になるけど・・・でも、裏表が無くて真っ直ぐな処は尊敬に値するわね」

「・・・・・」


その言葉に少し驚いて、あたしはまじまじと葵を見つめた。


葵が鞠子を褒めるなんて珍しい。

しっかりしていて、誰より優しく気遣いが出来るのに、葵は口を開けば憎まれ口をきいてしまう。

あたしも鞠子もそれを知っているから、葵が憎まれ口をきいても気にしない。

そして、親友であり続けたいと思うのだけど・・・


「何?」


あたしの視線に気付いた葵が、小さく首をかしげた。



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