夢みたもの

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「あ、ひなこ待って」


放課後。

いつものように図書室に向かおうとしていたあたし。

航平の声に教室の入口で足を止めた。


掃除当番の航平は、箒片手に廊下まで出てきてニッコリ笑う。


「ひなこ 今日も図書室?」

「そうだけど?」

「じゃ、俺 部活あるから、帰りに顔出すよ」

「うん 分かった」


あたしが頷くと、航平は満足気に笑って言った。


「じゃ、手 出して?」

「手?」


航平に促されて、あたしは空いていた右手を出す。

すると、航平は胸ポケットからミルクキャラメルを3個取り出して、あたしの手のひらに乗せた。


「ありがと」


どうして航平がこんな可愛らしい飴を持っているんだろう?


そう思いながら礼を言うと、航平は悪戯っ子のように笑って、惚れ惚れするぐらい完璧なウインクを返してきた。


「今日は、ひなこのお腹が空かないようにね?」

「・・・・・」
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