夢みたもの
  §──・‥…:…‥・──§


いよいよ明日。

私達家族は日本を離れる。

今度の滞在は、少し長くなりそうだ。


次にひなこに会えるのはいつだろう?


こんな中途半端な形で別れなければならないなんて、心残りが多過ぎる。

せめて‥あと少し。

恵が迎えに来るまで、ひなこを守りたかった。

その事が残念でならない。


  §──・‥…:…‥・──§



「終わり‥?」


日記はそこで終わっていた。

次のページも‥その次のページも‥‥

白紙のページが続いている。


「嘘でしょ?」

「‥‥」

「何で‥?」



まだ、分からない事、知りたい事が沢山ある。

それなのに‥‥


「ここで終わり‥!?」



確かに

母が迎えに来なかった理由、ユーリの家族との関係、園長の変化については知る事が出来た。


でも

でも‥まだ足りない。

大切な事が抜け落ちてる気がする。



「他に‥他に何か書いてない?」


あたしは白紙のページを何枚もめくった。


「ここで終わりなんて、おかしいよ」

「ひなこ」


小さくあたしの名前を呼んだ航平は、ハッとしたように、すぐにあたしの手を止めた。


「待って ひなこ」

「‥‥?」


首をかしげたあたしに、航平は黙って日記を指差した。


「これ」

「‥‥?」


航平が指した処は、日記の一番最後。


そこに、封筒の角が見えた。


「手紙‥?」

「うん、そうみたいだ」


航平は小さく頷くと、日記から封筒を引っ張り出した。


宛名は無い。

少し茶色に変色した封筒には、封がしていなかった。



「はい」


クルリと封筒を見回すと、航平はあたしに手紙を差し出す。


「ひなこの探している答えは、この中にあるかもしれないよ?」

「‥‥」


厚みのある手紙。


航平から手渡されたそれをまじまじと見つめると、あたしは息を飲んで封筒から便箋を引っ張り出した。



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