夢みたもの
「やれやれ、本当に過保護だな」


肩をすくめた宮藤君が、呆れ顔であたしと航平を見つめていた。


「もう少し、自由にしてあげれば?」


あたしを庇うように立った航平とあたしが向き直ると、宮藤君は少し目を見開いて軽く頭を振った。


「だから、さっきのは冗談。いくらなんでも、友達のモノに手出したりしないよ?・・・そんな顔するなって」

「この事に関しては、その言葉を信じて良いか迷うな」


宮藤君は「ひどいなぁ」と呟くと、楽しそうに笑う。


「まぁ、チャンスがあるなら是非に・・・ってトコだけど?」


あたしと航平の顔を交互に見た宮藤君は、また小さく笑った。


「ま、今日の処は、怖い顔したナイトが一緒だから止めとくよ」


そう言い残すと「じゃぁ また」と言って、宮藤君は後ろ手に手を振って廊下を歩いて行った。


< 59 / 633 >

この作品をシェア

pagetop