おうちかいだん
その家に住む女の子は、両親と一緒に眠っている小さい頃から、夜中にトイレに行く時は母親を起こしてついてきてもらっていたんだ。


真っ暗な中で一人でトイレに行くのは怖いからね。


それは仕方のないことかもしれないけど……ただその女の子は、中学生になっても母親にトイレに付き添ってもらうのをやめなかったんだ。






「お母さん、トイレに行きたいんだけど……」


眠っているお母さんを起こすと、物凄く不機嫌そうな顔をするから本当は起こしたくない。


それでも、一人でトイレに行くのが怖くて、毎日のようにこうして起こさなければならないのだ。


「あんたねぇ。中学生にもなって、まだトイレに行くのが怖いの!?」


そんな小言を言いながらも、お母さんは起きて私についてきてくれる。


うちは昔、民宿をやっていたみたいで、家の造りが少し変わっていた。


両親が寝ている部屋に続く階段。


その下が土間というか、コンクリートで固められていて、そこに大きめのトイレがある。


宿泊客が同時に使用できるように、小便器が2つ、個室が2つあるトイレだ。


私が生まれた時には民宿はやめていたみたいで、この大きなトイレをそのまま使っていた。
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