御曹司は魔法使い⁉︎ ② 〜私達、結婚式を挙げます!〜
元々、香から猛アタックしてきたくせに、どこか一本線を引いているところがあった。
多分それは花の存在。
花と初めて会った後、香の様子がおかしくなった。もちろん俺は花との関係を正確に話した。全く恋愛感情はないし、付き合ったこともなかったと。それをどこまで信じてくれたのかはわからない。
ただ、香が不安になるなら、なるべく花の話は避けようと思った。

花が東京に行ってからは殆ど会うこともなかったし、会う機会があっても、兄夫婦や同級生が必ず同席していた。それは俺の中で香に対してのけじめだった。さすがに2人きりでは会わない。

でも、国内留学先は、偶然にも花の勤務先があるベリヒルホスピタル。しかも指導医は花の旦那さんだった。
接触は避けられない。
その事をちゃんと事前に説明しようとしたのに、香は病院名を聞いただけで俺を避け始めた。つまり、俺は大した説明もさせてもらえず、上京することになったのだ。
そこのところは不安があった。
でも俺達の絆は簡単に壊れない。
俺達は大丈夫だと自分に言い聞かせて、がむしゃらに研修に取り組んだ。
ゴールデンウィークは最終日がフリーだった。指導医の寿貴先生が丸一日休暇をとっていたからだ。今考えたら初節句だったからだな。

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