捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
 その時、ふと自分の体が視界に入った。なんて華奢。なんて薄っぺらいんだろう。
 妹と同じ歳だとは思えない。まるで子どもみたいじゃないか――。
「お姉様、私、お休みの度に帰ってくるわ。食事もメイドに頼んでおいたし、おまじないもかけ直しにこなくちゃいけないから。ちゃんとお留守番していてね」
 妹はそう言うと、新品だという制服のスカートをひらめかせて去って行った。
 ローゼマリーの足音が聞こえなくなると、慣れ親しんだ毛布を抱いて目を瞑る。
 食事に手をつける気にもなれない。今日はもう眠りたい気分だ。
 夢の世界に逃げ込んで、すべてから目を背けたい。そうすれば、十年経ったのにも拘わらず、あの頃からまるで成長していない自分の姿を見ないでいられるだろう。
 ――妹が私にかけた呪い。
『だから、お願い。これからも変わらないでいて』
 その効果は、私が存在していたという記憶を消すことだけではなかった。
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