捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
 妹に頼まれたのだと食事の用意をしてくれていたその人は、まるで温度のない声色で告げると、私を地下牢から連れ出した。馬車へ押し込み、数時間かけて森までやって来るなり、ポイと放り出してそのまま行ってしまったのだ。
「廃棄って……ゴミじゃあるまいし」
 はあ、と息を漏らして、葉の間から見える青空を眺める。
 どうやら、妹は魔法学園でうまくやれているらしい。
 例のファンディスクとかいうものの通りに、立ち回れているのかもしれない。
 だから、お荷物な私を生かしておく必要がなくなったのだろう。
 本人から直接事情を聞いたわけではないから、確実なことは言えないけれど……。
「最後まで、とことんひどい妹だなあ」
 ぽつりとひとりごちて、腕に浮かび上がった薔薇の痣をジッと見つめる。
『〝お姉ちゃん〟大好き。大好きだよ……』
「――……はあ」
 ため息をこぼして、ゆっくり目を瞑った。
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