捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
「俺を信じてくれ、リリー。いや、まだ知り合ったばかりだ。信じてもらえるようにこれから努力するさ。だから、お前はなんの心配もしなくていい。なあ? そうだろ」
「……あ、うう……」
 大きな指が私の涙を拭う。
 この間までは、いくら涙をこぼしても、誰も私を慰めてはくれなかった。
 でも――今は。
「我慢すんなよ。いっぱい泣け。そばにいてやるから」
 優しくて。どこまでも温かいこの人が、泣いている私を見ていてくれるから。
「――あ、ああああああああああああああっ!!」
 私は大きく泣き声を上げると、思い切りヴィクトールの首にしがみついた。
「おお、おお。元気だなあ。泣き止んだら、お前の新しい人生が始まるからな」
 ポン、ポンと優しく背中を叩かれる。
 それはまるで、すべてを許すと言われているようで。
 私はヴィクトールに抱きつく力を強めると、声が嗄れるまで泣き続けた。

 ――こうして〝悪役令嬢〟リリーは、ヴィクトール・シュバルツ伯爵に拾われた。
 薄暗い地下牢の中で、ひとり震えていた私。
 誰からも忘れられ、妹にも捨てられ、世界でひとりぼっちになってしまった私は――。
 十年ぶりに、温かな居場所を見つけたのである。

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