幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「要するに、だ。政宗はその子を笑顔にさせたいってことがわかった」

「笑顔に、か……」

直己に言われたその言葉がすっと胸に入り込む。急に胸のつっかえが取れた気がした。ずっと何かに思い悩んでいて、政宗はそれが何なのかわからなかったが、今ようやくわかった気がした。

政宗は、小春の笑顔を求めていたのだ。
小春に笑っていてほしい。
悲しい顔をさせたくない。

その気持ちが政宗の原動力だった。
だから医師にもなりたいと思ったし、手術痕も消してやりたいと思った。
いつだって、小春のために何かをしてあげたいと考えていた。

「直己の言うとおりかも。ありがとう、話してよかったよ」

「だろ?」

直己は自信満々に笑う。
その笑いに嫌味はなく、政宗の気持ちは晴れ晴れとした。

「それにしても政宗もすみにおけないな」

「何が?」

「惚れてるんだろ?その子に」

「……え?は?」

きょとんとする政宗を見て、直己は眉間にシワを寄せる。
そしてため息一つ、一人ごちた。

「無自覚ほど怖いものはないな」

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