拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着愛が重すぎます!~
(ていうか、エリアスさん、やっぱり背が高い……)
いつもふざけた言動ばかりで忘れてしまいがちだが、こういう姿勢でいると、エリアスが幼馴染をはじめとする近所の子たちとはまるで違う、フィアナよりもずっと年上の大人の男であることに気づかされてしまう。
「す、すみません! ありがとうございます」
ぽんと顔が熱くなる心地がして、慌ててエリアスから距離を取ろうとする。けれども、その肩をエリアスに押さえられてしまった。
「エリアスさん、あの……?」
なぜ、放してくれないのだろう。戸惑い振り返ろうとするフィアナだったが、返ってきたのは奇妙な問いかけであった。
「知っていますか? 一輪の薔薇の、花言葉を」
「花言葉、ですか?」
突拍子のない問いに、フィアナは動きを止めてしまう。――だから、身じろぎひとつすることなく、耳元にエリアスが唇を寄せるのを許してしまった。
「『私には、あなたしかいません』」
「っ!」
低く、つややかな声が耳を打ち、フィアナの背がびくりと跳ねる。思わず手を振り払って飛び退けば、いつものようににこやかな――それでいて、どこかぞくりとする色気を漂わせたエリアスがそこにいた。