渚便り【完】
俺はポケットから取り出した手紙の内容を向こうにある街灯の灯りで確認し、伊波のように声に出してみた。


「この場所で伊波と過ごした時間、すごく楽しかった。ありがとう。あと、実は伊波のことずっと好きだった」


肝心の告白が、まるで付け足すような形になってしまったのは、まだ俺に恥じらいがあったからだ。
字が汚いうえ文才まで無いなんて、どこまでもヘタレな奴。
自嘲しながら雑に折りたたんだ手紙を入れた小瓶を、思い切り腕を振って投げる。

瓶詰めにされた密かな想いは暗がりの波に飲まれていった。
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