渚便り【完】

水平線の彼方に

もうすぐ夏期の長期休暇も終わろうとしているのに、依然として暑い日は続いている。
癖っ毛気味の髪を鬱陶しく思いながらも、俺は冷たいタオルを頭から被りドリンクを手に水分補給をしていた。
俯けがちの視界の中に、不意に人影が入りこんできたと同時に、頭上から振ってくる声。


「隆也、どうかしたのか?なんだか夏休みに入ってから調子悪そうだぞ」


顔を上げると何か気掛かりそうな面持ちの作田と目が合った。
相変わらず察しが鋭いというか、人の顔色伺うのが好きというか。


「別に、どうもしてねーよ」


再び視線を落としてぼそりと吐き捨てるように言ってやった。
作田は気を遣ったつもりなんだろうけど、俺としてはなんだか気分が悪かった。

図星だったから。
ついでにこのどうしようもない暑さも重なって苛立ちは倍増だ。
いらぬことを心配されて、余計な干渉されてるみたいで、そういうのお節介って言うんだよ。
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