勇者がうちにやってきた▼【完】
▼
今年に入って九死に一生スペシャルは二度目だ。
一度目はあーくんのお陰で命拾いしたけど、今回はもう駄目かもしれない。
だってほら、あっちで死んだおじいちゃんとおばあちゃんが手を振っているもん。
もしかして、ここは三途の川……?随分と波の音がうるさい川だな。
「……――ま!……しぬま!」
……遠くから誰かが私を呼ぶ声が聴こえる。
ぼんやりとしていて、誰のものかは分からないけれど。
「菱沼!おいしっかりしろ菱沼!」
「――……ぁ」
目を開けるとそこには青空が広がっていた。
……ここは天界?良かった。私は地獄行きではなかったのか。
日頃徳を積んだ甲斐があったよ。
「大丈夫か!?俺が誰だかわかるか!?」
……視界に映り込んできたのはクラスメイトの近藤。
あれ、近藤までなぜここに?近藤も溺死しちゃったの?
…………ん?いや待て、違うぞ。
「私死んでない!?」
「おお、元気そうで良かった」
ガバッと上半身を起こしたら、反動で頭がクラクラした。
生きていることを確認するかのように、顔面や体中のあちこちをペタペタと触る。
良かった、生きてる。心臓がちゃんと動いてる。
ようやく現状を理解して冷静を取り戻しつつある私は、くだらない見栄を張ったばかりにこんな醜態を晒してしまったことを悔やんだ。
というかなんか違和感があると思ったら、パーカーのチャックが開けられていて、上半身の水着が丸見えになっている。
今年に入って九死に一生スペシャルは二度目だ。
一度目はあーくんのお陰で命拾いしたけど、今回はもう駄目かもしれない。
だってほら、あっちで死んだおじいちゃんとおばあちゃんが手を振っているもん。
もしかして、ここは三途の川……?随分と波の音がうるさい川だな。
「……――ま!……しぬま!」
……遠くから誰かが私を呼ぶ声が聴こえる。
ぼんやりとしていて、誰のものかは分からないけれど。
「菱沼!おいしっかりしろ菱沼!」
「――……ぁ」
目を開けるとそこには青空が広がっていた。
……ここは天界?良かった。私は地獄行きではなかったのか。
日頃徳を積んだ甲斐があったよ。
「大丈夫か!?俺が誰だかわかるか!?」
……視界に映り込んできたのはクラスメイトの近藤。
あれ、近藤までなぜここに?近藤も溺死しちゃったの?
…………ん?いや待て、違うぞ。
「私死んでない!?」
「おお、元気そうで良かった」
ガバッと上半身を起こしたら、反動で頭がクラクラした。
生きていることを確認するかのように、顔面や体中のあちこちをペタペタと触る。
良かった、生きてる。心臓がちゃんと動いてる。
ようやく現状を理解して冷静を取り戻しつつある私は、くだらない見栄を張ったばかりにこんな醜態を晒してしまったことを悔やんだ。
というかなんか違和感があると思ったら、パーカーのチャックが開けられていて、上半身の水着が丸見えになっている。