勇者がうちにやってきた▼【完】
「貴方は、わたくしにとっての初めての友人……とても大切な存在ですわ。ですから、元気でいてもらわなければ困りますのよ」


その言葉に最初はポカンとしていたちよこさんだけど、その瞳は次第に潤んでいき、


「アタイ、これからも姫ちゃんのそばにいて良いのぉ?」
「当たり前ですわよ」
「うっ……うわあ~ん!姫ちゃんだぁいすきぃ~!」
「ちょっと、こんなところで抱きつかないでくださいまし!……ってきゃあ!?」


ちよこさんに抱きつかれバランスを崩した姫が地面に倒れ込む。
それでも姫から離れずに頬擦りしているちよこさんは、見ているこっちまで幸せになれそうなくらいとびっきりの笑顔を浮かべていて。
姫も満更でもない様子でちよこさんの頭を撫でていて。
そんな光景を前に、私は自分の口元が緩むのを感じた。
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