勇者がうちにやってきた▼【完】
なんてことない休日の1コマ。
ちよこさんの一件では家を留守にしていることが多いのが災いして、すっかり出番のなかった親分に、遂にスポットライトが当たる。


「ちよこちゃ~ん、今度の水曜日オレとデートしようぜー!」
「ごめんねぇ、その日はバイトがあるのぉ」
「じゃあその次の水曜日でも」
「姫ちゃんとデートするから駄目なんだぁ」
「んじゃその次のまた次のすい、」
「特に予定はないけど無理かなぁ」
「せめて最後まで言わせてくれよハニー!ガチしょんぼり沈殿丸!」


要するに落ち込んでいるという意味らしい。
よくわからない用語を言い放ち、全敗した親分はがっくしとその場に項垂れている。

ちよこさんはというと悪びれもない様子で、バイトに行ってくると家を出て行った。
そうなると次なるターゲットはマオちゃんが用意していってくれた昼食を食べていた私とあーくんになり、肩を落としていた親分から声がかかる。


「オレちよこちゃんに嫌われてんのかな。なぁどう思うブラザー&シスター」
「誰がブラザーですか」


あーくんの突っ込みはさておき、私は前から思っていたことを答えてあげる。
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