勇者がうちにやってきた▼【完】
「チトセちゃん、親分くん、それにギン太くんも。連絡もせずに心配かけてごめんないさい。スマホ忘れたって気付いてはいたんだけど、少しくらいなら大丈夫かなって思って。親分くんが来てくれるのわかってたから、店長に伝言残すことくらいすれば良かったよね。気が回らなくて本当にごめんなさい。でも探しに来てくれてありがとう」


ちよこさんは申し訳なさそうな声音で深々と頭を下げて来た。
そんなちよこさんに対し、親分は両手を広げてフォローを入れる。


「ちよこちゃんが謝ることねーって!マジ無事で良かったわ」


親分の言う通り、大事に至らなくて本当に良かった。警察沙汰になったらどうしようかと思ったよ。
ホッとしたせいか、いっきに疲労感が押し寄せてきた気がする。。


「にしてもぉ、親分くんもこんなになるまでやりあうなんてぇ、本当におばかさんだなぁ」


それは以前に姫と殴り合いをしたちよこさんが言うと、妙に説得力のあるセリフだった。
親分の顔の傷をなぞりながら、ちよこさんはやんわりと笑う。
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