【完】黒薔薇の渇愛
それなりに楽しい日々を送っていた。
虚しさや哀しみなんてものは無いも等しい。
気の合う仲間と一緒にいれば、空っぽの俺でも満たされている様に感じる。
でも。
やっぱり何かが足りない、何かが。
雨の日はつい目に入れてしまうものがある。
住宅街にある小さい橋の手すりに手をつけ
ボーッと眺める川は、俺の心臓の音に合わせて流れている様な気がする。
「父さんって、やっぱバカじゃん?」
川に流された父さん。
川のあちらこちらにある石やゴミにぶつかって、遺体は傷だらけだと聞いた。
ほんの一瞬だけ……この川を見るたび思い出す。
幼い頃の懐かしい日々とか、あの頃に戻りたいだとか。
くそつまんない幻想を抱きたくなることがある。
「あーあ、なんだか萎えちゃった」
帰ろう。
そう思い、手すりから手を離そうとした。